皆さん、暑い夏がやってきました。今年は節電も叫ばれており、とにかく大粒な汗をたくさんかくことになりますね。冷や汗にならないことを。。。! ところで日本では昔から血圧の高い方を中心に、「塩分控えめ!」が徹底されてきました。さらに暑い夏には、水分をとりすぎるほど飲んでいいと言われてきました。
しかし、夏に関していうと本当はこれは大間違いです。水分だけとっていては、水膨れ、水中毒になってしまいます。汗になって体から塩分が噴出しています。ですから、夏はそれを補充するために、血圧の高い方でも、水分とともにある程度塩分をとってよいのです。
塩分をとるといっても、塩だけをなめることをお勧めしているわけではありません。バナナやスイカなどの果物をとること、スポーツ飲料を飲むことがよいのです。
熱中症にならないためにはとにかく冷やすこと、そして水分と塩分をとることです!
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◆“ビタミンB3(ナイアシン)”
今回は、メンタルに効くサプリメントについてお話します。サプリはもう飲んでいるという方も沢山さんいらっしゃると思います。しかし、前回のミニレクでも申し上げましたように、エステのつもりで飲むサプリは濃度の薄いものでも良いでしょうが、健康を維持する、状態を改善するために治療として食すサプリは、有効濃度に達する、ある程度の濃度の濃いものでなくてはなりません。
ビタミンB3(ナイアシン)は、メンタルによく効くサプリメントです。ビタミンBは脳代謝や脳機能活性に大切なもの。そのため、ビタミンB3に関わらず、ビタミンB群は脳に非常に効果があります。
特に、B3(ナイアシン)は神経細胞で脂質・糖分を分解して、神経を安定させる働きがあり、以下のような効果が期待出来ます。
ビタミンB3を含む食品には、バター、肉、レバー、魚、ピーナッツ、ビール等がありますが、どれも摂取しすぎるとメタボが心配になります…。前回のミニレクチャーでご説明した通り、ある一定以上の量を摂取しないと、効果は現れません。そのため、食品からの摂取はほどほどにして、サプリメントを効果的に活用しましょう!
▲(株)ケンビファミリーKY製
価格 6,090円(税込)
朝、昼、晩、1回10粒ずつで、だいたい1ボトルで1.5か月分
◆こんな場合には、特にビタミンB3(ナイアシン)のサプリメントをトライしてみましょう!!
◆《ナイアシンを含むサプリメント服用時の注意!》
ナイアシンのサプリを購入すると時は、ナイアシン単体のサプリは、吐き気が出るので、ナイアシン・アミドという複合体のものを購入してください。
神経を安定化する、Ca・Mgのサプリも併用すると、ナイアシンはより効果を発揮できますよ!
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今回から数回にわたりサプリメントについてご紹介します。みなさんの中にもサプリメントを飲んでいる方は多いのではないでしょうか。サプリメントは効果的な飲み方を理解した上で服用するようにしましょう!
◆サプリメントの飲み方
《 鉄則 》
血中濃度を上げる飲み方でなければ、効果なし!
比較的安価で買いやすいサプリメントは、濃度が低いものが多く、いくら飲んでも有効血中濃度に到達しない(図の緑線)ため、効果を感じられないということがよくあります。
サプリメントを飲むときは、短期間で有効血中濃度まで達するもの(右図の赤線)が望ましいのですが、日本で販売されているサプリメントの多くは上記のように濃度が低いものが多いので、よく確かめてから購入するようにしましょう。また、多くのサプリメントは飲みすぎても問題はありませんがビタミンAやホルモン作用のあるサプリメント(イソフラボン)は、過剰摂取をすると発ガン作用、ホルモン過剰作用がありますので、まさにこれらのサプリの食べすぎは危険です。ビタミンAやイソフラボンのサプリを服用するときは必ず用量を守りましょう。
◆米国と日本の違い
現在はサプリメントがあたりまえのように飲まれている国、アメリカですが、30年ほど前のアメリカ医学会ではまだサプリメントは否定的でした。後にビタミンCの発見者としてノーベル医学生理学賞と平和賞の2つを受賞したポーリング博士が、末期がん患者に対するビタミンCの大量に投与する効果を提唱しても全く相手にしてもらえませんでした。それどころか合衆国上院ではサプリメントを否定するための公聴会を開催しました。ところがその公聴会がすすむにつれ、サプリメントの良さが明らかになり、薬に代わる代替医療として認められてしまったのです。こうした背景をもとに、米国では治療にサプリを使用するときは、医者が薬の処方をするように、症状をみながらサプリメントの処方箋をきります。一方、日本では医者による処方はまれで、多くの方はこのサプリが良いとのウワサを聞くとコンビニや通販等で安易に入手してしまうのが現状で、症状を逆に悪化させてしまうことも多いのです。
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頭が痛い!、とても心配ですね。頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがありますが、今回のテーマは片頭痛です。
まず、頭痛のタイプは、大きくわけて2つのパターンがあります。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など特に原因となる病気がないのにおきる頭痛(一次性頭痛、頭痛の90%以上がこのタイプ)と、原因疾患(脳腫瘍、くも膜下出血、脳梗塞、感染症など)がありおこる頭痛(二次性頭痛)に分けられます。かぜの時におこる頭痛もこのタイプに入ります。今まで経験したことのない頭痛が急激に生じた場合には、命にかかわる くも膜下出血 の危険性があり、救急車での緊急受診が必要です。
◆片頭痛の特徴
80%以上は遺伝性であり、30歳までに発症し歳をとるにつれて自然に治ってしまう方が多く、70歳以上ではまれです。
最も一般的な緊張型頭痛は、精神的・身体的ストレスが原因となるため「ストレス頭痛」とも言われます。この場合には、数日にわたり、頭をギューッと締め付けられるような頭痛が頭全体におこることが多いのですが特に前ぶれがなく、階段昇降などの運動をしても悪化しないことで見分けられます。
片頭痛は我慢しなくても、今では特効薬 もあり、ご自身に有効な薬に巡りあえば、 必ず楽になります。 あきらめない!我慢してがんばらない! この言葉は片頭痛にもあてはまります。
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湿布は痛いところには必需品です。 でも、冷たい湿布と温かい湿布の使い分けがわからず、私の外来でも、いつもどちらかのみくださいとおっしゃる方が多くみられます。今回は、この使い分けについて考えてみましょう。
痛くなった時、そこは赤くはれて、通常は熱をおびています。これは、皮膚の下や筋肉が炎症を起こしているところです。通常、この炎症は1週間~10日位続きます。冷たい湿布は、この時期に使うのがよいのです。一度、炎症がおさまると今度は筋肉が硬くなり、血液や神経のめぐりを悪くしてしまいます。この時は、筋肉をほぐし血行をよくしてやらないと神経は興奮し、慢性の痛みを起こします。
例えば腰をひねって痛くなったとします。痛い!痛い!1週間は冷たい湿布でOKです。しかしその次の週も、またその後も冷たい湿布を貼り続ける方が多いと思います。ほんとは、2-3週目以降は、温かい湿布にするといいのです。一般的にはお風呂にはいって患部を温めた時、まだズキ~ン、ズキ~ンと痛めば冷湿布、十分温まってあがった後のほうが調子がよければ、もう温湿布でいいよ!という体からのサインとお考えください。皮膚が弱く、かぶれやすい方は、どちらも貼らずに、ぬり薬でいったほうが無難です。
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むずむず脚症候群という病気はあまり知られていませんが不眠で悩んでいる10 人に1 人がこの病気ではないかと言われているとても身近な病気のひとつです。
名前の通り脚(特に膝より下)がむずむずとして,いてもたってもいられなくなります。 夕方から夜中にかけて悪化し、脚の内部から「むずむず感」「虫が這うような」「チクチクとした痛み」「火照り」といったなんともいえない不快感・違和感が起こり眠りを妨げます。こういった不快感は歩いたり叩いたりすることで和らぐのですが,刺激によって不快感が一時的に消失するのがむずむず脚症候群の特徴です。毎晩熟睡できないのでストレスがかかり,日中もイライラしたり気分が落ち込んだりします。受診しても、気のせい、気分的なものと診断されてしまうこともあり、十分な治療が行われていないのが現状です。
原因はまだはっきりと分かっていませんが,ドパミンという脳内の神経伝達物質や鉄分不足により生じるのではないかと考えられています。遺伝の関係もあるとされており、親子間・兄弟間でむずむず脚症候群ということもあります。また男性より女性がかかりやすいといわれています。
以下の4つの症状にあてはまる方はむずむず脚症候群かもしれません!
重症な場合、日中にもムズムズとした不快感が現れ、映画を観る・ドライブに出掛ける・新幹線や飛行機で旅行といった楽しみもままならないことがあります。脚の不快感によってよい眠りが得られない、普段の生活に支障があるという方は、気のせいではなく、治る病気と考えて一度受診をお勧めします。現在では新しい治療薬も開発され、当院でも治験を実施していますので、ご相談ください!
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血圧と聞くとすぐ頭に浮かぶことは、上と下の血圧という言葉で、上は120~140がよく、下は80~85以下であると大丈夫ということです。これは正解です。でも測った血圧を簡単なもっと別な見方をすると、より体のことがわかります。今回は上と下の血圧の差である脈圧と平均血圧について勉強しましょう!
(1) 脈圧=上の血圧 - 下の血圧 (正常値:40~60)
60以上は要注意、心臓に近い太い血管に動脈硬化の傾向
(2)平均血圧=(上の血圧 -下の血圧)÷3 +下の血圧(正常:90未満)
90以上は要注意、心臓から遠い細い血管に動脈硬化の傾向
たとえば血圧160 / 80の方は、少し上が高いだけで下は正常で済ましていいでしょうか?この方は脈圧=160-80=80、平均血圧=(160-80)÷3+80=107 となり、ともに正常値を上回っており、太い血管も細い血管も動脈硬化を起こしつつあるとみなくてはなりません。
動脈硬化は血管の壁が硬く厚くなり、動脈の内腔が狭くなって血液が流れづらくなってしまう状態で、いろいろな病気をおこします。人は血管と共に老いるといわれる所以です。水道の蛇口にホースをつないで庭の水まきをする時、蛇口に近いところでホースを踏んだり、水の噴出すホースの口を強く押さえ過ぎると、蛇口からホースがはじけてしまいます。これらはホースの内腔が狭くなったことにより蛇口部の水圧が上がってしまった結果です。同じように、心臓に近い太い血管や、心臓から遠い細い血管に動脈硬化がおきると、心臓に負担がかかり血圧が上がり危険です。
脈圧・平均血圧どちらかが異常⇒動脈硬化が進んでいる⇒心臓に負担がかかり血圧が上昇し、血管が詰まりやすく破れやすくなる悪循環に!心筋梗塞や脳梗塞が病の終章であるとしたら、動脈硬化は病の序章。その序章である動脈硬化を早く簡単に見つけて治療を始めることが重要です。血圧を測ったら脈圧と平均血圧も知ることが大切。今日から早速、今、測った血圧から脈圧と平均血圧を計算する習慣をつけて、自分の動脈硬化の程度を知って“生き”ましょう!
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一言で“記憶”といっても、数時間で忘れてしまう「短期記憶」、それ以上覚えている「長期記憶」があります。もの忘れなどが何故おきるのかを知るためには、この記憶の仕組みを知っておく必要があります。
では脳のどの部位が、この2つの記憶の働きをしているのでしょう?よく記憶には海馬が重要といわれます。海馬は人の脳では大脳の最も深いところにあって、タツノオトシゴや神話の世界の神様の乗り物に似た弓形構造をしています。現在海馬には、五感を司る器官から集まってくる、いろいろな刺激を整理し1ヶ月から数ヶ月程度の一時的な記憶を蓄えておく働きがあると考えられています。つまり海馬は新しい記憶を作り短期記憶を司っているだけで、そこにある記憶はそのままではすぐに忘れ去られる運命にあります。それでは記憶の最終貯蔵庫となる長期記憶はどこの脳が担当しているのでしょう?これに関しては現在のところ、大脳皮質の一部、特に耳の奥あたりに位置する側頭葉だとする説が有力です。
次にどうやって脳は短期記憶や長期記憶をすることができるかです。短期記憶は海馬における神経の信号伝達が活発化することによりなされ、長期記憶は側頭葉の神経細胞内で覚えさせるための記憶タンパク質が作られることによるといわれています。電気の信号だけではすぐに消えてしまうため、タンパク質を作って記憶を神経に貼り付けておけば消えづらいとイメージすればよくわかりますね。
したがって記憶を維持しておくため、つまりボケないためには五感を活発に動かして情報を脳に入力し海馬で短期記憶させ、大豆など脳の喜ぶ栄養をしっかりとって記憶タンパク質を側頭葉でうまく作って長期記憶をさせることが重要です。ボケないためにはさらに、この蓄積された記憶脳から情報を取り出す訓練、脳を使うことがホントは更に大切なのです。
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身体がだるくてやる気がでない、頭が痛いというと、最近ではすぐメンタルの病気、うつ病?と考えてしまいます。しかし、うつではないのに本当にだるくて身体が動かない病気がこの慢性疲労症候群です。1992年に当時の厚生省から初めて診断基準が発表され1つの病気として認知されるようになりました。
元気を出すホルモンを分泌する甲状腺の病気やガンなどの全身疾患、更年期障害もないのに、日常生活が困難なほど強い疲労感が半年以上続く場合この病気を考えなくてはいけません。ただ疲労感が強いだけでなく微熱が続き、頭痛・関節痛、睡眠障害、思考力の低下があり、ついには寝たきりになりってしまうこともあり、単純な過労とは全く異なります。原因としては身体が生活環境の中からストレスを受け免疫力が低下⇒体内に潜んでいるヘルペスなどのウイルスが頭をもたげる⇒それを攻撃する免疫系が活性化するも調節がうまくいかない⇒さらに神経系やホルモン内分泌系が乱れる。この悪循環から脳へ信号の伝達が悪くなり、最終的には脳の細胞の変調が恒常的となり異常な疲労感と自律神経のさまざまな症状が生じます。診断は血液検査で血液中のアセチルカルニチン量の低下をみることと症状から決定されます。治療は漢方薬(たとえば41番補中益気湯)やビタミンB12やビタミンCを摂り身体の抵抗力をアップさせること、抗うつ薬の内服やカウンセリングなどで生活のリズムをきちんとつけたり、認知行動療法により悪循環から抜けることです。
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昨秋このコーナーで内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)についてお話しました。ウエストが男性85センチ、女性90センチ以上で高血圧、高血糖、高脂血症になると、脳卒中、狭心症や心筋梗塞が発症しやすくなるということでしたね。今回は小腸などを包んでいる腸間膜に脂肪が過剰に蓄積してしまうこの内臓脂肪内の個々の脂肪細胞に目を向けてみましょう。
脂肪細胞は、最近よく耳にする“中性脂肪”を細胞内に取り込んで膨張し、ほとんどは黄白色の“ふとった細胞”となります。今まで脂肪は活動する時にエネルギーを供給してくれる単なる貯蔵庫と考えられてきました。しかし最近、脂肪細胞は糖尿病や高血圧、摂食や性機能、免疫にまで影響を及ぼす様々なホルモンを分泌していることがわかってきました(下図)。たとえばPAI-1が過剰になると血栓ができやすく脳梗塞・心筋梗塞などをおこし、TNF-αが増えすぎると血糖を下げるインスリンの働きが弱まり糖尿病に、インターロイキンやアンギオテンシノーゲンのバランスが崩れると免疫異常や高血圧症につながります。でも良い働きもあります。超善玉ホルモンであるアデイポネクチンのお話です。これは他のものよりはるかに多く分泌されており、通常では血管内を走り回り、動脈硬化や動脈瘤をできやすくする血管内面の傷を修復してくれる働きをもっています。アデイポネクチンは内臓脂肪が増加すると減ってしまいますが、体重を一割落とすと逆に分泌量が二倍に回復します。
昔から日本人は欧米人に比べ、少量の食事からエネルギーを脂肪細胞に貯めることができる遺伝子をもっていました。しかしこれは戦後直後の食べ物のない時代までは良かったのですが、飽食の時代といわれる現代ではかえって身体によくないのかもしれません。余計な栄養をとらない、これが本当は一番身体によい逆説的な栄養療法なのでしょうか!?
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気持ちが落ち込んで、何をするにも身体がだるく、ドキドキくらくらとめまいがする。寒くて仕方ない。いくつもの病院をまわり、うつ病、パニック障害、時には気のせいといわれてきた41歳の患者さんが来院されました。私も症状からうつ状態と考え、西洋薬と漢方薬の処方をしました。しかし一向に症状が軽快されず、私も悩みました。ひょっとしたら、精神的なこと以前に、このような症状をきたす悪い栄養状態に身体が陥っていらっしゃるのではないかと思い、もう1度異なる見方での血液検査をさせてもらいました。その結果、フェリチンという血液中の酸素を運ぶ“鉄のトラック”が極めて低下していました。そこでこれを補うためのサプリメントをお勧めしました。この種の普通の西洋薬では胃腸の調子を崩しやすいので、このサプリメントを勧めたわけです。効果は、私も正直言って驚きました。みるみる症状が回復し4週間後には、今までの抗うつ剤はお守り程度に持っているだけで、服用しなくなりました。今までの症状は、栄養素の1つの鉄が足りなかったことによる細胞の酸素欠乏状態だったのです。
我々現代の西洋医学で教育されてきた医師は、この症状がでたらこの薬、あの症状にはあの薬と処方しがちです。もちろんこれで治らなかった時、その原因になる病気を考えるようにも教育されています。しかしそこで病気が見つかればまた西洋薬です。私のわずかながらの経験からしても、この方法でいくと次から次へと薬が増えてしまい、気がつくと食事の代わりに薬を食べる状態になってしまっていることが少なくありません。我々は医学教育の中で、外科ならば切ること、内科ならば薬のことに目を向ける傾向が強かったように思います。栄養学というものは、ほとんど臨床的な面から忘れられていたのかもしれません。
普通の治療で治らない時、身体の栄養バランスが崩れていることに目を向けましょう。最近はアメリカの影響からか、日本でもサプリメントが流行しています。このサプリメントは保険がきかないため、値段にもピンからキリがあり、購入方法もインターネットからコンビニまで、いろいろなところで入手できます。しかし成分や純度の点で、その信頼性には十分な注意が必要です。我々医師がすすめるサプリメントは、価格もある程度しますが成分は確かです。いろいろな症状の多くは、病気ではないのに栄養のバランスが崩れて生じていることが多いこと、そしてそれは薬ではなく、純度の高い栄養素(サプリメント)を短期間で大量に摂取すると治ってくる場合が高頻度にあることを今回はお伝えしたいと思います。
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最近、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)ということが盛んにいわれるようになりました。内臓の周囲に脂肪が蓄積すると血圧、血糖値、中性脂肪が高くなり、脳梗塞や心筋梗塞を発症する率が高まります。そのため肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病の4疾患が重なると『死の四重奏』などと、おぞましい名前で呼ばれてしまうのです。
我々医師は次のようにして、この症候群にあてはまるかを決めています。
(1)に加えて、(2)~(4)の2つ以上があてはまると内臓脂肪症候群と診断されます。受診された時、必ず血圧を測り、診察時にさし上げた検査コピーで(2)(中性脂肪TG)と(4)(血糖値BS)をみて見てください。内臓脂肪は、お腹のCTを撮影するとはっきりととらえられます。下の腹部CTで●印のついた白い部位が問題の内臓脂肪です。●印の皮下脂肪とは明らかに違いますね。簡単に内臓脂肪を測定するためには、できれば衣替えのたびに、ウエストを測定することをお勧めします。(1)~(4)の4点に気をつけてチェックし、異常であれば早めの治療をしていけば、健康で長生きできます。
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春から夏にかけて増加します。
「春眠 暁を覚えず」と言われますが、春霞だけで眠くて仕方ない、朝起れないわけではないのです。起きれない、午前中が苦手という方は身体を休ませる神経と活動時に血管を収縮させる神経のバランスが乱れていることが多いと考えられます。
一方、身体のリズムは、脳の松果体にある体内時計により“25時間周期”で刻まれています。昼は血圧や体温を上げ、夜は下げて眠れるようにしてくれます。これが一日24時間とズレてくると眠れない・朝起きれないということになります。このズレを治してくれるのが、朝の光です。朝、光が身体の中に入るとその晩寝付く準備が自動的にもう朝から始まります。現代では遮光カーテンが発達し、朝、部屋に光が入りづらくなっています。ご高齢の方でお部屋を一日中薄暗くしておられる場合は、認知症にもつながりよくありません。体内時計はズレが生じても光を浴びると、10日から2週間くらいで修正されます。休日は別としても、我々もカーテンを開け、朝の陽光を浴び、さわやかな空気を吸い込みましょう!習慣が大事です。
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前号で脳梗塞には血管の詰まり方によって、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞(脳血栓症)の3種類あることをお話しました。今回はその中で約3割を占める心原性脳塞栓症について詳しくお話しましょう。通常、心臓はドッキン、ドッキンと規則正しくうっています。これが心房細動などの不整脈で、ドッキン、ドッキン、ド、ドッ、ド、ドッキンと不規則にうった時に、心臓の中に小さな血の塊が生じてしまいます。この血塊(血栓)が心臓の拍動とともに、頚動脈から脳に通ずる血管に入り脳まで流れて行き、脳の中の太い血管を詰めたときに、この心原性脳塞栓症が完成してしまいます。比較的太い、脳にとっては大切な血管が閉塞することが多いために、症状は激しく、急に言葉がしゃべれなくなったり、手足が動かなくなり、更にひどい時には意識がなくなり、命を落としてしまうこともある脳梗塞の最重症型です。予防はとにかくこの血栓をつくらないように、不整脈の薬とともに、ワーファリン、アスピリン製剤、プレタールなどの抗血栓剤を飲むことです。納豆は、ワーファリンの力を弱めてしまいますが、他の薬は一緒に飲んでもOKです。最近では納豆こそ、ナットーキナーゼの働きにより血液をサラサラにするといわれています。
脳梗塞は脳が原因の病気と思われていますが、実は心臓が原因になることもあるわけです。脳と心臓は兄弟分なのです。
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脳の血管が詰まり血流が途絶え、脳の機能が低下してしまうことが脳梗塞です。血管が詰まるパターンには、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症(脳塞栓)、アテローム血栓性脳梗塞(脳血栓症)の3種類あります。それぞれの脳梗塞に占める割合は、ラクナが、50~60%、心原性が20~30%、そしてアテローム性が20%程度です。食生活の欧米化とともに、ラクナが減少し、特に近年アテローム性脳血栓症が増加してきています。原因は、ラクナでは穿通枝動脈と呼ばれる細い毛細血管が変性し狭くなったり、小さな血や脂肪変性の塊が毛細血管をふさぐ事になります。また心原性では心房細動などの不正脈、アテローム性では頸などの太い血管壁の障害部位に悪玉コレステロールが沈着し変性して狭窄が生じます。そのため、心原性では、命をも奪われかねない重症な脳梗塞になりやすいのです。高血圧、コレステロール(悪玉)、中性脂肪は抑えておかなくてはいけません。
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脳梗塞は脳の血管が詰まり血液が途絶えることにより、言葉や手足がご不自由になってしまう病気です。血液がいかなくなった脳の症状が出るのです。一言で血管が詰まるといっても、心臓病により心臓から脳に血のかたまりが飛んでいって詰まるものが脳塞栓、脳の中の血管が徐々に詰まるものが脳血栓です。今回はこのような脳梗塞にならないためにどうしたらよいのかをテーマに考えましょう。何をどうすればよいのか、その答は欧米の研究(図)からわかります。これによると、ズバリ禁煙すると脳梗塞などの死亡率が約半分になります。次に血圧とコレステロールを下げることが大切であることがわかりますね。(下図参照)
日常生活で心がけることは、卵の黄身などのコレステロールを多く含む食事を控え、青魚や野菜を多めに食べましょう。30 分程度のウォーキングなどの運動も定期的にとるとベスト体重維持に良いようです。お薬では少量のアスピリン(1日約100mg、ほぼ小児用バファリン1錠に相当)が血液をサラサラにしてくれます。昔、アスピリンといえば鎮痛薬でしたが、大人が小児用バファリンを飲む場合は脳梗塞の治療のためなのです。脳ドックで頚動脈の狭窄の有無を見つけ早期に治療を始めることも大切です。この頚動脈エコーは脳動脈の状態を推測するのに有効です。当院でも実施していますので積極的に調べましょう!
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◆症状と診断は?
首から後頭部がキリキリといたみ、頭のてっぺんにかけて痛みがはしります。人によっては、目の奥まで差し込むような痛みや、肩から頚にかけてのこり感を伴うこともあります。髪の毛の生え際で耳の後ろから真ん中よりのところを指で押すと、ウッツ!と唸ってしまうほどの痛みを感ずる場所、“圧痛点”があります。これがあるとほぼ間違いなく、診断がつきます。
◆何が原因ですか?
頚の付根を覆う筋群を貫通して大後頭神経が出ています。この神経を過剰に興奮させる刺激が加わると大後頭神経痛が生じます。たとえば、ストレス(対人関係、深酒、徹夜、主婦の方ですと家庭内のイザコザetc.)や低気圧(雨の降る前)などの影響が加わったときに、大後頭神経痛がよく生じます。悩み事があり、明日の天気予報が雨なんていうときにはダメです。また神経の出てくる所の筋肉がギュッと収縮したり(緊張型頭痛や、むち打ち症に続発するタイプ)、変形した頚椎がこの神経を圧迫したりして(頚椎症によるタイプ)も痛みます。コンピュータと長時間向きあったり、下を向いて仕事する方たちの中には、頭の重さをいつも頚の筋群が支えているため、てきめんに痛くなる方がいます。美容師さん、看護師さん、エステティシャン…ご注意を!
◆どう治療するのですか?
冷たい湿布や鎮痛剤の服用、整体マッサージでも治らない場合には、大後頭神経ブロックをおこないます。これは圧痛点に少量の局所麻酔剤や少量のステロイド剤を注射します。ほとんどの方は、このブロックを週に1回くらいで、数回すれば痛みは消失します。原因となるストレスなどがかかったときには再発することがあります。でもその時はまた治療すればいい!くらいの軽い気持ちでいてください。くよくよ心配しているとますます再発してしまいます。
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◆どんな血圧計が良いのでしょう?
上腕に腕帯を巻くタイプがベストです。 (家電屋さんで一万円くらいであります)
指や手首で測定する機器は、誤差が生じやすくお勧めできません。できればクリニックに持ってきていただき、我々が使う血圧計との誤差が5mmHg以内であることを確かめると一層安心ですね。
◆いつ計るのがいいのですか?
朝晩最低一回、測定してください。
朝の測定が最も重要であり、起床後一時間以内で、排尿後、座って1~2分間安静にしてから測定します。
『くすりを飲む前、また朝食もとる前に』ということも忘れてはいけません。
夜は、就寝前に座って1~2分間安静にしてから測定してください。
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◆インフルエンザ ワクチン
インフルエンザウイルスは咽頭から気管支の粘膜を傷つけ体内に入り高熱と強い咽頭痛、関節痛をおこします。4年に一度オリンピックの年の1~2月に大流行するといわれ、Aソ連型、A香港型、B型のウイルスが猛威をふるいます。接種するワクチンは各ウイルスに対抗できるように作られます。成人では接種をしておくと70~80%が発病を防げます。最近は1回の接種のみでよいことが多く、接種時期は、抗体ができるまでに最低1~2ヶ月はかかるために、前年の 11~12月中までがよいわけです。ワクチンは鶏の卵を使って作られるために、鶏肉や卵アレルギーのある方は、じん麻疹やショックを起こすことがありますので接種できません。
費用は保険が効きませんが、65歳以上の方には公費負担があります。
◆肺炎ワクチン
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最近元気が出ない、気分が沈みがち。私は“うつ”ではないか?病院を受診したらやっぱり“うつ”と言われた…
一言で“うつ”といわれても、うつ状態とうつ病があります。正常→うつ状態→うつ病と進んでいくものと考えていただくと理解しやすいかもしれません。毎日の生活の中で、つらくへこんだ状態が続いても、生活スタイルや考え方を変えてみることで、何とか自力で浮上できれば“うつ状態”です。気持ちや考え方を切りかえる元気すらわかない、何もかもいやになってそのまま抜け出せないというときには“うつ病”のドアの近くにいる可能性が高いわけです。下表に両方の違いをまとめてみました。症状が2つ以上“うつ病”の方に傾くようでしたら神経科や心療内科の専門医に相談してください。
うつ状態 | → | うつ病 |
---|---|---|
他人と話すのが面倒 | → | 人に会いたくない。こもる |
気分が沈みがち | → | 気力が全くわかない |
好きな趣味をしている時だけは楽しいが、その後落ち込む | → | 好きだった趣味も全くしたくない |
不安で自分に自信がもてない | → | 自分なんてダメだと絶望する |
集中力がおちている | → | 昼・夜逆転したり、不眠となる |
うつ状態の場合には、治療を要することはあまりありませんが、どちらの場合も、時の流れに心を任せ、自然に楽な気持ちで生きましょう!
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働き盛りの人々の命を突然奪ってしまう怖い病気、くも膜下出血は何故おこるのでしょうか?くも膜下出血はほとんどの場合、脳の動脈瘤が破裂して起きてしまいます。少数の方は脳血管の先天奇形がもとで出血します。ですから脳動脈瘤が、主犯といっていいわけです。動脈瘤は動脈硬化などに高血圧症が加わって発生することが多いのですが、遺伝的な要因もあるといわれています。報告によると、ご両親のどちらかがくも膜下出血であった場合、30~40%の確率でお子さんたちに遺伝するそうです。脳動脈瘤は破裂してしまうといろいろな方法での手術をしなくてはなりませんが、未破裂の動脈瘤がある場合には、降圧剤により血圧を下げておけば破裂する確率を下げることができます!
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頭を打ってから、その時はなんでもなかったのに、しばらくして頭蓋内に出血するのがこの病気です。ご高齢の方が、頭部にケガを負ってから2?3ヶ月後に、頭痛・頭重感の他、歩きづらい・箸や茶碗が持てない、尿を漏らしてしまう、トンチンカンな言動をするようになった場合、この病気を考えなくてはなりません。脳の表面の細い静脈が外傷により切れてジワジワと出血が続くことが原因で、脳を覆っている硬い膜(硬膜)の下と脳の表面に血がたまることがこの病名の由来です。脳実質内の出血ではないため、局所麻酔下で頭蓋骨に親指の爪くらいの孔をあけ、挿入した管から血腫を洗い流す1時間程度の手術で通常は完全に治ります。
頭を強く打ったら、その時だけでなく3ヶ月後位までに再度、脳の精密検査を受けましょう!!
実際にあった典型的なケースを、ご紹介します。
71歳の男性です。去年の暮れ、雪の朝滑って転び、目から火が出るほど頭を強打しました。
その時に、当院で撮ったヘリカルCT(左)では全く問題ありませんでした。でも、徐々に歩きづらくなり、歩くと左に寄って行ってしまったり、左手で茶碗がもてなくなり、今年の2月の初旬までには尿失禁や痴呆症状がでてしまい再受診になりました。この時のヘリカルCT(右)では、頭蓋骨と脳の間に灰色の三日月の血腫(⇒)が認められ、これにより脳のシワが消え、黒いハの字の脳室の対称性が崩れて、対側にゆがんでしまいました。 脳の悲鳴が聞こえますNO!!!
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